いい旅館訪問記 旅館マニアによる高級旅館のおすすめブログ

東京在住の旅館マニアが、口コミ・ランキングに頼らない現地情報を紹介するブログ。 「その旅館が好きなら、この旅館もおすすめ」というリンクも紹介中。 住まいから関東の温泉宿が中心になると思います。

あこがれの宿、修善寺の あさば に行ってきました。あさば_4383
「西の玉の湯、京の俵屋、東のあさば」と云われ、名高い旅館です。
いまだに、自社HPを作らない(作る必要がない)ことからも名門さがわかります。

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踊り子で一路、修善寺駅へ。

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修善寺駅からは路線バスで約10分。

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修善寺温泉に到着です。

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竹林の小径、川を渡り、

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あさば に到着です。

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門! 砂利! 羽織! 青のれん!
ここからもう、空気感が違います。

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のれんをくぐると、名前を聞かれるだけで、余計な会話もなく、すっとそのまま部屋へ案内されます。

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部屋は「萩」。

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踏込みから

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次の間付のお部屋

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入れば、縁側にガラス戸はなく、全面網戸だけ。

すうっと通る風と、
水の音と、ミーンという蝉の声。新緑かと思うくらいに青の木々。

ふすまも、簾戸(すど)に替えられています。

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床の間に置かれた生け花。

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縁側の床も「木」。寿司屋のカウンターの如く、磨かれていて白く輝いています。

部屋のこの空間つくりだけで、
別格の旅館に来てしまったな、との気持ちになります。

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お茶菓子
自家製の草餅が、笹から取り出しにくいくらいもっちもち。

チェックインは部屋の中で。
ここまで、スタッフとの会話はほとんどありません。
しかし、相談事は、直ぐに承ってくれます。

思い返せば、予約の電話の際も、
日にちと名前だけで手続きが終わり(ちょっと足りない?と思うくらい)、
小うるさい案内が全くありませんでした。
余計な言葉を避けている感じ、慎ましいサービスです。

どのようにサービスの教育をしているのでしょうね。
熟練した女性ばかりのスタッフで、メガネを胸にひっかける感じ。

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浴衣は2枚。パジャマの用意も。

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洗面所。

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お風呂。沸かし湯でなく、温泉です。

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お手洗い。

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冷蔵庫。

では早速、温泉に入りに行きます。
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部屋のカギは、変わった形。

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廊下も畳で良い空間つくり。幅はちょうど一間。
廊下が狭い宿はイマイチに感じますが、
その指標は、日本人に馴染みの尺度「一間」あるかないかなのかもしれないと感じました。
加えて、壁の色が白系で広がりに見えることも重要。黒系だと狭く感じるでしょう。

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野天風呂へ。
屋外との境ですが、障子です。
木はもちろん、磨かれた白さ。

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野天風呂。池に面します。

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入った時の目線の位置。深くて、座ると鼻まで浸かります。

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タオル常備です。
なんと、バスタオルは、温蔵庫に入っています。

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内湯の入り口

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脱衣場。タオルとバスタオルが整理されています。

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内湯

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貸切風呂は2か所あります。
予約不要で、鍵をかける形。

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貸切風呂 卯の花湯

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貸切風呂 南天湯
どちの貸切風呂も、鍵がかかっているところは滞在中1度もみませんでした。

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風呂の横の廊下には、水が常温と冷水が用意されていました。
背景は、大きなガラス窓とおもいきや、

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完全なオープンエアーでした。
土や葉や虫などが舞い込んでくるでしょうに、
ほこり一つありません。掃除が行き届いています。

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廊下も、そこここが、オープンエアーです。
沖縄のブセナテラスのロビーでも感じましたが、
館内が、オープンエアーで、かつ清潔感を感じさせる宿は、
別格の高級感を感じさせます。

掃除が行き届かなければ不潔、設備が行き届かなければボロい、という印象となるところ、
徹底的にこだわっている様子がうかがえます。

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風呂上りはサロンへ

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コーヒー、お茶、リンゴジュース、水が用意されています。

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やっぱりオープンエアー。

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ベープが大活躍です。

ここで、館内の施設を見学させてもらいました。
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2階の部屋【松風】。

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【松風】2間続きで、

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【松風】能舞台を見下ろします。

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【松風】内風呂。温泉。


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【浅葱】。洋間リビングです。
この日は空き部屋で、木の磨き職人が来ていました。

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2階の廊下はじゅうたん。写真は2階への階段。

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1階からエレベータがあり、又ベッドルームもあることから、バリアフリーはむしろ2階のようです。

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廊下にはほとんど案内表示はありません。
上記は唯一見つけたエレベータ表示。
いらないくらいの小さいサイズの旅館であり、空間つくりの一つなのだと思います。

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2階の宴会場。

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もう一つの宴会場へのアプローチ。外です。

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もう一つの宴会場。

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1階の掘りごたつ食事処。
ここでのみカラオケ可能とのこと。

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ロビーからの能舞台の眺め。

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能舞台は、時々の薪能など、本当に使われている施設です。

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ロビーの氷の中の花。

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売店。
外国人向けか、浴衣などが置いています。
よくある箱モノのお土産は置いていません。

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番台。
ロビーをうろついていても、スタッフもあえて出てきません。
また、ほかの客にもめったに会いません。だから静か(6歳以下の子供は宿泊不可)。

個人の時間を大切にしてくれる宿と感じます。


それでは外を散策しようと、声をかけるとすぐに下駄を用意してくれました。
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あさばの前の車道。ちゃんと石畳にしてあり、散策にも雰囲気あります。
左に入ると、

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竹林の小径。
先の車道石畳とともに、修善寺は、「散策できる温泉街」を作ったトップレベルだと考えています。
草津の湯畑のような元々に温泉街があるところ、ではないなか、
一所懸命、「散策できる温泉街」を造営したのだと予想しています。
近頃、活気のある温泉地は、「散策できる温泉街」を作れたところであり、
利害関係や土地都合などにより、それができていない温泉は、時代に取り残されていると感じます。

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さて、宿に戻りました。
玄関を入ると、スタッフが何も言わずに、おしぼりを持ってきてくれました。
余計なサービスがないのに、ポイントは抑えている、感動モノのサービスです。

部屋に戻って、縁側で。
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網戸も全開にして、ゆっくりと。
部屋の前の小川は、川から引いた水とのこと。

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水の音と、ミーンという蝉の声。新緑かと思うくらいに青の木々。
余計な音源など不要です。
ずっと、縁側でぼーっとしていられます。

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そうしているうちに、18時に指定した夕食の時間となりました。

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御献立。

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膳から違いますね。
食前酒は、地元の日本酒韮山。

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もろこしかき揚げ

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もろこしすり流し

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生ビール。

ちなみに、飲み物のラインナップも別格です。
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あさばのドリンクメニュー1/3。

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ドリンクメニュー2/3。

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ドリンクメニュー3/3。

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前菜三種
ずわいがに、たいらがい、いちじく

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鯵たたきつみれを
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銀の鍋で火を通します。
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よそっていただき
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スープもさらっとした味でうまい。飲み干しました。

地魚造り
めいちだい、あおりいか 芽山椒
写真撮りもれました。

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鮎 炭火焼
炭火で温められたまま、部屋に持ってこられます。

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皿も温められています。
鮎を出されると、いつもバリバリと食べることに少し困惑しますが、
ここは、小さい鮎であるから固くなく、食べやすいです。

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アメーラトマト含ませ
静岡弁「甘えらー」から名付けたブランドトマトとのこと。本当に甘く、桃みたいでした。
しそのシロップもアクセントになっています。

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太刀魚おかき揚げ
塩と、万願寺唐辛子のあん
砕いたおかきがカリッと、身がほろっと。

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穴子黒米ずし
あさば名物。肉厚の穴子がふわっと。

天城しゃもスープ煮
しゃもを1羽使っているとのこと。これも撮りもれました。

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冬瓜

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ごはんは釜炊きででてきました

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あゆごはん
もずく みそ汁 つけもの

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デザートは、メロン・くずきり・ブラマージュからの選択で、ブラマージュ。
アーモンドから作ったもの。プルップルでした。

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アイスクリーム 万願寺唐辛子・生姜
甘いものなのに、唐辛子と生姜と意外なもの。
しかも、素材の味が、しっかりと残っていて、ピリッとします。
好みは分かれるかもしれませんが、食後がさっぱりとします。

夕食は、トラディショナルな和食、
一流の洗練された食事に感動です。

たとえば、かき揚げ・トマトなど、メニューそれ自体は、もしかしたらよくあるものかもしれませんが、
食材と、調理の演出により、やはり違う一流の内容となっています。

肩ひじ張らせず、かつ満足度の高い夕食でした。


夜は、再度散策へ。
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修禅寺(お寺は「禅」が正当)でキャンドルナイトというイベントをやっており。

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数十人ほどの温泉客が来ていました。

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宿への道中に「射的」がありました。残っている場所は数少ないですね。
1回500円。
10射中、8射当り。おまけで景品をもらいました。

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宿に戻り。

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サロンで飲み物を1杯

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池にある明かりは、水に浮かした灯です。

部屋に戻れば、寝る支度がされていました。
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テーブルには、金平糖と白かりんとう。

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簾戸と窓を閉じられると、部屋の中の洗練感が突然に薄まります。
水の音と、虫の声。 空気の流れ。
明るさに白く輝く磨かれた木。
部屋の広さ。 
カーテンすら隠された、視線の先が広い窓からの景色。
日中に見たどれもが、洗練さの元であることを実感しました。

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敷かれた布団。
選んだ「そばの枕」で就寝。


翌朝、目覚ましもかけずに、ちょうど朝食の前の7時半に目が覚めました。
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部屋の檜風呂に温泉を入れて 朝風呂

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天窓からも明かりを取り入れられています

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湯船につかった目線
庭からの風が心地よいです。

朝食は8時からでお願いしました。

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先付など

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御飯 みそ汁 漬物
焼のりは、温めながら提供されました

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御飯はおひつで
全部平らげました

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焼き魚 だし巻き

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巨峰 梨

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さつまいものすり流し

朝食は、他の旅館と比べて、量は多くないと感じましたが、
実際は、このくらいでちょうど足りる量です。
一つずつ配膳される(竹籠などでない)ので、小さいものの種類を増やすわけにもいきませんからね。

朝食後9時からは、サロンにて、ちゃんと落とすコーヒー提供ということで、一服しに行きました。
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朝の透き通った空気

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光が透き通る器が使われていました。

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ロビーでは、池の鯉のエサが置いてありました。
ご自由にどうぞと、あくまでも宿泊者の遊び用として。商売ではありません。

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黒・白・赤と、たくさんの鯉がいます。

ぎりぎりまで滞在して、11時半にチェックアウトへロビーへ向かいます。
途中、別の業務に向かう様子のスタッフにすれ違うと、
その業務より先に、私の荷物を取って、ロビーまで持ってくれました。

チェックアウト時も、やっぱり余計な言葉はなく、
すっと精算をして終わり。

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けれども、渡されたおつり硬貨は、
全てピカピカ。(製造年から、新貨ではないのに)
また、門の外まで荷物を持ってくれてお見送り。

サービスの次元が違います。

なお、チェックアウト時に、
前日注文した、あさばの温泉饅頭を受け取り。
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あさば能と焼印がありました。狩野庄紅屋の製造。

あさば
過去宿泊した旅館の中でも、別格の宿でした。
サービスと、施設の面では、
とにかく、個人として自由でリラックスして滞在できる空間つくりをされています。

1.他者の存在を消す
 ○人に会わない(会わせない)空間つくり
 ○風呂場のタオル等の片づけを常に巡回し、常に新品(一番風呂)の状態である
 ○スタッフも、徹底して客の自由滞在空間から離れる

2.軸を守った施設の維持
 ○門と砂利と羽織とのれんに象徴される、日本旅館としての佇まいのある建物
 ○経年劣化での不便を感じさせない頻度のメンテナンス
 ○池と小川と森といった、都市の日常から隔絶した自然の空間維持
 
そんな、あさばを形容する際に、
【「仕方ない」をあきらめていない】というようなキーワードが思いつきました。
 ○木が古くなるのは仕方ない  →あきらめずに磨く
 ○人と会うのは仕方ない     →あきらめずに空間つくり
 ○多少のごみは仕方ない    →あきらめずに掃除 どこを見ても清潔です
 ○おつり貨幣古いのは仕方ない→あきらめずにピカピカ
 などなど

とにもかくにも、
「東のあさば」と云われ、いまも、一流を知る人々があさばを訪れることには、
今回宿泊をして納得がいきました。
最上級のリラックスと、豊かな気持ちを得ることのできる、最上級の旅館です。

★「あさば」(伊豆/修善寺温泉) ブログ
 更新情報は、「あさば」(伊豆/修善寺温泉)2回目も参照。
★「あさば」が好きなら、この旅館もおすすめ
 「御宿かわせみ」(東北/飯坂温泉)
 「西村屋本館」(関西/城崎温泉)
 「あらや滔々庵」(北陸/山代温泉)
 「亀の井別荘」(九州/由布院温泉)

あさば
料金・基本情報はこちら ▶ あさば


旅館・ホテルランキング

世界遺産「韮山反射炉」に沸く伊豆長岡温泉の正平荘に行ってきました。
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新幹線三島駅から、伊豆箱根鉄道に乗り換えて20分。伊豆長岡駅からタクシー1メーターで到着です。

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住宅の並びの中に立地します。宅地開発で飲み込まれてしまったのでしょうね、甲府湯村の常磐ホテルのように。

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入ると正面には日本庭園。ほのかに和旅館らしい香のかおりがします。

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はじめに、ロビー横のカウンターでお茶と茶菓子を頂きます。

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雰囲気のいい空間なのですが、宿帳がバインダーに安いボールペン。
スタッフの方の名札も、クリップ型の柔らかいネームホルダー。。。宴会旅館じゃないんだから。

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温泉の入り方の説明書も提供されます。その名も「温泉ビューティー入浴法」。

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庭沿いの廊下を通り、

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階段を上がって、

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本日のお部屋は、「201 耕雲」。
和洋の特別室です。

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和室部分

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ひろびろ空間。テンションが上がります。

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バルコニーもついています。右のものは観月台というべきものでしょうか。

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水回りと、

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アメニティ。

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内風呂。

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扉で隠れていますが、流し台もあります。

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では、浴衣に着替えて、大浴場へ。

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1日目は、不二紅梅の湯。男女入れ替わりのようです。

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タオル・バスタオルも常備。

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懐かしい感じの脱衣所。

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檜の内風呂。アルカリ泉のためか、とっても滑ります。

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露天風呂。住宅街の中なので、ビュー無しです。

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お風呂上りには、「温泉で淹れた冷たい静岡茶」。
アルカリ泉なので、にいいのではと勝手に期待してがぶ飲み。

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お庭を見ながら、夕涼み。
蚊だけが天敵ですが、そこは蚊取り線香が置いてあります。
建物とお庭、夏らしくジーーと蝉の声、そして蚊取り線香。
なんだか田舎の実家に来たような気持ちになります。

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部屋に戻り、館内図を眺めながら。
庭園を中心に、増築を繰り返したことがわかります。

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「真にくつろげる宿」がコンセプトとのこと。
「お部屋への立ち入りは最小限」。だから、お茶もロビー横で出すのですね。
チェックアウトは、12時まで。

次は、夕食。「京風料亭旅館」と名前に冠するのですから、食事への期待値も高いです。
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料亭「閑雲嶺」へ。

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暗めの空間に、客毎に仕切りがされています。ちょっと居酒屋チックですね。
もともと宴会場であったスペースを、部屋出し食から切り替える際に食事処にしたとのこと。
いまでも団体であれば、仕切りを外して宴会場になるそうです。

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呼び出しスイッチ。居酒屋じゃないんだから。

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本日の席はこちら。

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暗い中に、テーブルだけスポットライトが当たっています。
この空間で、食事に集中させるためなのでしょう。演出が考えられています。
ちなみに、BGMはジャズ。

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最初のセット。

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お品書き

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前菜
鰤炙り寿司 紅心大根酢取り 鯛福沙雲丹揚げ 螺貝含め煮
海老黄身酢掛け 明日葉の白和え 子持ち昆布珈琲煮豆松葉刺 ほうづき麩

前菜から期待感が高まります。

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飲み物は、静岡名物の「静岡みかんサイダー」で。甘いです。

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吸物
焼鱧真薯 楓冬瓜 つる菜 梅肉 柚子 蓴菜

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造り
鮪 白身魚 紋甲烏賊 炙り車海老 妻種々

刺身はみずみずしく、鮪はトロトロ。
海老は炙りかつしっぽを外してあり、烏賊も少しあぶられています。
造りであっても、必ずひと手間が入っている、職人技です。

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煮物
金目鯛湯葉巻き煮付け 隠元 牛蒡 針葱 木の芽

こちらも、伊豆に来れば金目の煮付けは定番ですが、湯葉巻きで格が上がっています。

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焼物
鮎塩焼き 蕪あちゃら 丸十レモン煮

やっぱり頭からがぶりと。はらわたは苦いです。

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珍しい形の器です。次は何かな。

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蒸し物
蛤 アボガド トマト茶碗蒸し

茶碗蒸しと食べ進めると、トマトの汁が口の中で広がる、新しい味です。

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中皿
和牛幽庵焼き 林檎ソース トマト ブロッコリー 南京

肉をリンゴの酵素で。さらっと食べられます。

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香の物 京都【大こう】よりお取り寄せ漬物の盛り合わせ
赤出汁 冬瓜 滑子、生麩、辛子
飯    富山県産コシヒカリ 新生姜味噌添え

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水物 季節のデザート
とうもろこしのプリン、スイカのシャーベット、かぼちゃのチーズケーキ

それぞれ目印に、
ポップコーン、スイカ玉、かぼちゃのチップが乗っています。
見た目も、野菜のデザートという点でも面白い逸品です。
デザートが、ありきたりでないものが出ると、うれしいですね。

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食後に紅茶がでました。

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正平荘の夕食は、トラディショナルな和食でありながら、
一品ごとに必ずひと工夫がある、いい夕食でした。

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夜の庭園はライトアップです。
一休みしたのち、おやすみなさい。


翌朝。まずは朝食の前に大浴場へ。

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2日目は男女入れ替わり不二白梅の湯。

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昨日と比べて、一回り小さいです。

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露天風呂は石造り。

朝食は同じ場所です。
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仕切られた席に入ります。

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最初に、小さいグラスに、
りんご、グレープフルーツ、人参の4種のジュース。
おしゃれです。

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朝食は竹かごを中心にした、
トラディショナルな和食です。
デザートが、前夜の期待値からするとさみしいことと、
全体的に、御飯のおともくらいのものが並び、メインが無いような感です。
それでも、おなか一杯に頂きました。

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食後は、「小さな美術館」というラウンジ風の空間でゆっくり。

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各種雑誌も置いてあります。

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コーヒーメーカーがあり、カップ加温機まであるこだわり様でした。

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食後は、再度部屋でゆっくりした後、12時にフロントでチェックアウト。

最後に、旅館マニアとして、館内を見させて頂きました。
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本館の廊下。本当に田舎の実家のような雰囲気です。

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白鵬亭の14ほうおう。一般室。

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新館の特別室とは佇まいが違いますね。
本当に田舎の実家のような雰囲気です。

こちらは新館。 瑞雲。庭園露天風呂付貴賓室。
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広々とした部屋の先に、ガラス張りの露天風呂が。

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丸見えです。
もちろんブラインドはあるとのことです。

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会議室。立派です。重役会議でもできます。

帰り道は、韮山反射炉と三嶋大社を、立ち寄りました。
伊豆長岡駅から、土日限定の無料バスで10分程度。
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韮山反射炉。写真で見えている範囲だけの施設です。
ここが世界遺産になろうとは、だれが予想できていたでしょうか。

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隣の土産店 蔵屋鳴沢もリニューアル。
観光バスとともに、人がいっぱいです。

タクシーで伊豆長岡駅に戻り、伊豆箱根鉄道で三島方面へ。
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昼食は、「うなぎ すみの坊 本町店」で。昔は「本町うなよし」という名前だったと思いますが改名したようです。

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三島名物 うな丼。肝吸い付。

食後は雨の中を歩いて、三嶋大社へ。
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旧官幣大社です。(名門!)

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宝物館。

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三島大社本殿。

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三島大社の通りの前に、
「大社の杜」という小さな商業施設ができていました。

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その中の一つ、PoRmoFujiというアイス屋さんへ。
パルム・MOWで知られる「富士乳業」の直営店なんだそう。

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パルムのトッピング付に、サービスで付いてきたMOW。
雨の中でしたが、冷たくて美味でした。

正平荘
伊豆長岡温泉という住宅街に呑み込まれている立地から、
景色や、街の雰囲気に優位性があるわけではありません。

また、大型旅館でないため、
旅館内にアトラクションを構築することもできません。

であるからこそ、料理を突き詰めて、第一線のものを提供しているのだと思います。
トラディショナルな旅館らしい和食、かつ工夫された料理を食べれる、良い宿です。

また、田舎の実家と書いた建物もそうですが、
サービスからも、家庭的な雰囲気を感じます。
スタッフでお顔を拝見したのは3人だけですが、
12室の小さな宿だからか、目が行き届いて、声をかけられます。
また、曇天に外を散策しようとしたら、念のためと傘を渡してくれます。

是非、その細やかなお気遣いで、細かい備品等にもこだわってもらいたいですね。

懐かしい感じで肩肘張らず、ただゆったりとしたい。
そんな時におすすめの宿です。
なお、宿泊する際は、部屋は「新館」にしましょう。印象がずいぶんちがいます。

★「正平荘」(伊豆/伊豆長岡温泉) ブログ
★「正平荘」が好きなら、この旅館もおすすめ
 「清流荘」(伊豆/蓮台寺温泉)
 「仙郷楼」(箱根/仙石原温泉)
 「おとぎの宿米屋」(東北/須賀川温泉)

正平荘
正平荘は、2021年に閉館しました。


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