兵庫県の日本海側 城崎温泉にある名門、西村屋本館に行ってきました。
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大阪から昼過ぎに東京に帰る予定でしたが、
翌日も休みのため、思い立って当日予約しました。
新大阪から特急こうのとりで2時間45分。
城崎温泉駅からは、旅館組合の送迎バスで、玄関前に到着です。

雨天であったため、バスまで傘を持ったスタッフがお迎えに来てくれていました。
傘の差し出し方(車の上まで差し出す)、受け取り方(軒先に着いたら、閉じる前にパッと受け取る)、
洗練されたサービスです。

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到着は、日が落ちてからとなりましたので、
そのまま部屋にご案内頂きます。
昭和の建物で、趣がありますが、
すきま風もなく、ほこり一つない、清廉な空間です。
歴史ある建物は、廊下に不安を感じることがありますが、
空気の動きを断絶することで、不安感を感じることがありません。

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廊下には、お香が焚いてあります。
古い建物は、一歩間違えば不快となり、
清潔に保って初めてスタートラインとなります。
相当洗練られないと(スタッフも)、高いレベルの綱渡りです。

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本日の部屋。音羽。
2階のお部屋です。
縁側は、日本庭園に面します。

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煎茶とお茶菓子。

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洗面台、水回り。

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部屋の風呂場。

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部屋の玄関。

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お手洗い。

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浴衣に着替えて、大浴場へ。

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階段を下りて、大浴場に向かいます。
内風呂はいずれも小さめですが、3つ存在します。

部屋に戻って、部屋食の夕食。
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左の手ぬぐいは、お土産にもなります。

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御献立

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前菜
菊菜と菊花 烏賊 とんぶり浸し
舞茸唐すみよごし
いくらみぞれ酢 岩茸
黒枝豆山椒煮 八幡巻
鰤の小袖寿司
銀杏 零余子

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椀物替わり
松茸と鱧の土びん蒸し
おちょこでちびちびと。

御向附
旬の朝市もの取り合わせ

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サザエ型の器。

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ここで、御釜に火が入ります。


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煮物
早蕪のスープ煮
磯煮黄金煮秋なす

箸休
無花果の向煮
白酢胡麻クリーム掛け

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焼肴
海鮮朴葉味噌麹焼
鮑 赤えび いか 万願寺

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朴葉の中から。

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台物
但馬牛のすき鍋
水菜 牛蒡 白菜 他

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お食事
但馬新米釜飯

留椀
赤出汁

香物
三種盛り

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水菓子
季節の果物

食事は、食材自体が、松茸・鮑・但馬牛といった高級食材で構成されており、
調理ももちろん一流。
The高級旅館といったイメージで満足度高いです。

冬になると、ここにカニがメインとなるのでしょう。


食事が終わったらそのまま就寝。
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お休みのメッセージ

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消灯。おやすみなさい。
古い旅館なので壁は厚くなく、ちょっと横の部屋の音が聞こえます。


翌朝。
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さわやかな朝です。

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窓からは敷地内の日本庭園。

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お部屋係りが、新聞とお茶、梅干しを持ってきてくれました。
新聞にはわざわざ、「おはようございます 本日のご多幸をお祈りします」とのスタンプ。
丁寧な対応ですね。

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朝食
おかゆと焼き魚。旅館らしい朝食です。

朝食後は、温泉街の散策に出ます。
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玄関。

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外観。
和旅館の建物、松、羽織の従業員。そして黒塗りの車。
一流のたたずまいです。

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西村屋本館の前は、車道。
昔ながらのパチンコセンターがあります。

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駅の方に進むと、大谿川(おおたにがわ)沿いの街並み。
石橋に柳の雰囲気は、散策に適しています。

城崎温泉は、外湯(共同浴場)は23時迄。街の店は22時迄。夜まで散策できる街づくりをしています。
現に、散策している人も多いです。

外湯に入り放題の、湯めぐりパスは宿泊者全員に渡され、外湯入場時にバーコード提示。

きっとバーコード認識の件数を取り、その実績に基づいて経済的メリットを享受されているのでしょう。
それによって経済原理が働いているためか、係員の対応も良いです。
ゆかた・下駄で客を識別しており、傘などを取ってくれます。

城崎温泉は、宿泊客を町散策させることで、温泉全体のブランドを向上できているのだと思います。
街全体で取り組めており(西村屋が町長だから?)、
かつ、経済原理を導入していることがポイントなのだと感じました。

川沿いの旅館は、2階建て程度の旅籠風。入ると下足を脱ぎ、帳場があり、横に急な階段がある感じ。
城崎温泉は、本流は西村屋本館、団体は西村屋ホテル招月庭として、
ほか個人は、どこの川沿いの旅館でも雰囲気がありOKと思います。
折角なら街歩くからと、温泉は共同浴場がありどこに泊まっても利用できます。食事は不明ですが。



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大谿川を渡る山陰本線。
柵もなくむき出しが地方路線らしい雰囲気です。


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『城の崎にて』の志賀直哉が逗留したのは三木屋。
西村屋の斜向かいにあります。
せっかくなので新大阪で『城の崎にて』を購入して特急内で読みました。
志賀直哉のリアリズムな描写に、エグさと無常、そしてそれを受け入れる心を学びました。

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部屋に戻り、縁側にて日本庭園を臨みます。
縁側のソファーに座り、木の手すりと、木枠のガラス窓の先の庭園。
建物は2階建て前後で、借景が山と空のみとなり、庭園景色が守られています。
ふわっとした風が入ってきて、
文豪がこういう宿に逗留した理由がなんとなく分かったような気がしました。

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11時にチェックアウト。
靴を履く玄関先では、座布団が用意される配慮がありました。

チェックアウト後は、出石(いずし)に向かいました。
城崎温泉駅から2駅豊岡駅へ、そこから路線バスで30分です。
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出石城の城下町。但馬の小京都と云われます。

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出石城跡。
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本丸西隅櫓

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二の丸跡

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出石城碑

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本丸跡

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有子山城跡碑
1604年に小出吉政が有子山城から、山麓にのみを出石城と命名し移ったとのこと。

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本丸跡から望む出石の町。
右側の山に隠れた先の山が、山名家の本拠、此隅山城とのことです。


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出石の町マップ。

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辰鼓楼

昼食は、名物の「出石そば」。
信州上田藩の仙石氏が移封されるに当たり、信州そば職人を連れてきたことが始まりとか。
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名物「出石そば」の近又。

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老舗風の佇まいです。

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出石そばとは、小さめのお皿で出されるもの。1人前は5皿。
男性大人30皿以上食べると、店内の番付表に掲示されるとのこと。
これはチャレンジしなければなりません。

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注文は5皿づつ提供されます。
もりもり、もそもそ。途中で味に飽きたら、卵で味を変えながら、、、

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30皿完食しました。
皿そばの証をもらうとともに、店内の番付表に掲示されることとなりました。
自分としては満足感です。

ただ、良く考えたら、上手い商売です。
大食い無料でなく、30皿分の売上が立ち、
番付表を見に、再訪の可能性があるのですから。

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ちなみに、町のマップには、「出石皿そば巡り」として、
永楽通宝3枚で、3件の皿蕎麦が食べれる、クーポンのようなものが紹介されていました。

複数の店を回らすことで、町の回遊を促進するとともに、
永楽通宝を利用することで、歴史ある街の雰囲気を醸成している、
良い施策です。

出石という町は、
古来城下町でありながら、国鉄が通らなかったことにより、
街が現代的に発展しなかったのでしょう。

それを未開の劣等とせず、
むしろ、近代以前の街並みが残っていることに着目して、
城下町の街並みをコンセプトに、町づくりをしてきたのだと思います。

主導した優秀な方が居たんだろうな、と感じましたが、
やはり、国土交通省の観光カリスマにも選定されているようです。

いい雰囲気の町ですので、一度訪問することをお勧めします。
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この日も、出石には、路線バスしかない町にしては、多くの人が訪れていました。

西村屋本館は、名門の伝統旅館。
サービス面も伝統的旅館らしい一流さ。
食事も食材からTHE最高級という感じです。
城崎温泉の街並み自体、散策に適しており優位性あり、
東京の方には行きづらいかもしれませんが、オススメ上位の宿です。

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西村屋本館
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